「チルドレン」

ずっとずっと、大好き。

チルドレン

チルドレン

とりあえず一言言うならば…伊坂幸太郎という作家に出会えて、幸せ!
本当にその一言で片付けてもいいくらいの感想なのです(笑)。
「表紙もイイし、きっとお気に入りの作品になるのだろうな…」と、伊坂幸太郎を読み始めて本屋で見たときから内容も知らないくせに勝手に予想していたこの作品だったのですが、もうまさに!! 私の直感ってすごいなあ(笑)。
本当に面白いのです。大好きなのです。力いっぱい叫びたいくらいです。伊坂幸太郎、好きだー!!
いわゆる連作短編という形の小説はもともと好きなのですが、今回は別格でお気に入りです。作者ご本人曰く「短編集のふりをした長編小説」だそうですが、何でもいいです。面白いのです。
どうしてこの作品が直木賞を取れなかったのか、謎です。というか、私にはこの作品を「嫌い」になる人がどういう人なのか想像がつかないのです。まあ陣内というキャラクターが嫌い(ニガテ)、という人はいるのでしょうが…。まあ、そういう人に対しては、「もったいないなあ」と私はニヤニヤするだけなんですが。
伊坂幸太郎作品を読んでいて非常に心地良いのは、読んだあとに「幸せ」な気分になることです。これまでの作品もそういう後味が非常に気持ちよかったのですが、本作はそれが最大限に見せ付けられる作品だと思っています。
短編の形をしたひとつひとつの物語も、どれもこれも見事にツボを刺激してくれる心憎い演出がされていたり。それぞれが終わるたびに思わず笑顔になってしまうような作品達ばかりなのですが、中でも「チルドレンII」は出色の出来だと思います。これのラストは本当に本当に大好きです。
そのひとつひとつが最後に繋がり、物語が終わった瞬間、さらなる「幸せ」が胸をいっぱいにしてくれる…この心地よさといったら、もう本当にたまらないのです。
もちろん、キャラクターは今回もたまらなく魅力的。1つ1つの物語では主役でないくせに、間違いなくこの作品の主役である陣内といい、その友達である鴨居といい、目の不自由な永瀬といい、ベスといい、一人一人が非常に素敵な魅力を持った人物。
ずっとずっと手元に置いておきたい、私にとって大切な1冊になりました。(ちなみに「オーデュボンの祈り」もそういう作品です。)