「クジラの彼」

クジラの彼 (角川文庫)

クジラの彼 (角川文庫)

予定外に一気に読了してしまった1冊。短編集だし、小分けにして読むかな〜くらいだったのですが、そうも行きませんでした。さすがというべきか。とにかく、やっぱり好きだなあ…としみじみ感じました。有川作品。

あとがきで作者本人が書かれている通り、

いい年した大人が活字でベタ甘ラブロマ好きで何が悪い!

だし、杉江松恋さんが解説で書かれている通り、

「反・恋愛至上主義」を恋愛小説の中でさりげなく書いていることに、私は好感を覚える

のです。はい。甘いだけでなくて、まっすぐで、リアルで、そしてやっぱり理想形なのかな。
とりあえず、順に感想なぞ。

  • クジラの彼

「海の底」前日譚…かつ後日譚? 以前も書きましたが、私は「海の底」では本当に冬原萌えでしてw 有川作品で一番好きなキャラクターだけに、彼の物語は単純に嬉しくて。甘くて優しい、「クジラの彼」。言葉の選び方、波長、運命、なんだかそんなことをぐるぐると考えたり。「ストーリー・セラー」が大好きな私ですが、少し思い出すキッカケ。「海の底」を思い出すと、たまらなくなるシーンもあったり。うん、やっぱり好きだなー…。

  • ロールアウト

どうしてこの人は見事にこう巧いところを突いてくるんだろう。解説でも触れられている通り、ハードな舞台を描きながら、リアルな生活感に着目してこんな風に料理する巧みさ。恋愛要素が必要かどうかはわからないけれど、でも巧いなあ…。ホント。

  • 国防レンアイ

ああもうっ! この2作連続して読んで、「甘いよーーっ!! …でも好きv」となったことはナイショです。好きですよ、こういうヘタレに見えて超絶カッコイイオトコっ。こんな人いるのかね、いるんだろうね、きっと。くっそー。くすぐったい気持になりつつ、でも好きなんだよなー。

  • 有能な彼女

「海の底」後日譚。いやそりゃね、彼らのその後には興味津々ですとも。…夏木視点ってのがよかったなあ。うん、やっぱり好き。これしか言えない。あれ? 夏木ってこんな発言する人だったっけ?? とかちょっと思ったけれどw 終盤の展開と夏木の気持ちの動き方、描き方がとてもよいのです。そしてやっぱり、冬原が好きー(結局それかよ)。

タイトルがいいなあw これもなんかリアルで良かったです。何気に作品としてはかなりお気に入りかも。あんまり甘くないからかなw うん、おもしろかった。

「空の中」後日譚。あーーーーだから、やっぱり好き(こればっかり)。このカップルも最高に好きなのです。変わったかな、と思ったけれど、変わってない。甘いだけじゃ終わらないラストも好き。カッコよすぎるぜ光稀さん!

ということで、とっても満足した1冊でした。「空の中」「海の底」も再読したくなってきたな…。好きなエピソードのところだけ読み返そうっと。

空の中 (角川文庫)

空の中 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)