「ボトルネック」

ボトルネック (新潮文庫)

ボトルネック (新潮文庫)

うわ、これは評価に悩むなあ。んー。ネタバレではないけれど、どうも微妙な感想を書くことになりそう。

とりあえず、なかなかの破壊力。これは、深い絶望の物語だ。…そう表現してしまうのは、簡単だけれど。

今の年齢になっても、かなり足元がグラグラしそうな物語。あのラスト1行は、あまりに衝撃的でした。この後、彼がどういう結論を下すのか、米澤氏は明記していません。私は、希望を見たいのか。絶望を見たいのか。

今はもうオトナだから、読めたけれど。私には深い絶望を感じさせられた。暗く深い闇に彩られた彼の世界。もちろん、そこで足を踏み出してしまうのは簡単で、踏みとどまることこそが重要なのだとわかっている。だけど簡単なきっかけで、人はそちら側へと行ってしまうのだと、そう思う。

ボトルネック」が、何なのか。それを彼自身がどう考えているのか。その答えがあまりに明白すぎて、痛くて痛くて。

私自身もかつて感じたことのある思い。それをこんなに生々しく形にした本作は、やっぱり米澤氏の「ひとつの区切り」だったのだろうな。