「空の中」

空の中 (角川文庫)

空の中 (角川文庫)

先日「Story Seller」を読んで一番心を掴まれたのは、初読だった有川作品でした。あからさまな泣かせはキライなのに、でも紡がれる文章にどうしようもなく心が引き込まれて、ボロボロと涙をこぼしながら短編を読み終えたことを覚えています。そして、必ず氏の他の作品も読もうと思い、さっそく書店で購入したのが本作でした。

…まず、SFという時点で、実は私は驚きを隠せませんでした。そうか、SF作家(少々間違い)だったんですね! しかも出自はライトノベル!(これは本書読み終えた後にあとがきを読んで知りました。このあとがきのテンションにちょっとビックリしたことも書いておきますw)いやー、意外性抜群。私が無知なだけですが。

で、本作ですよ。


イイわ〜…。


とにかく、イイです。というか、好きです。

何よりも魅力的なのは、登場人物のキャラクター。2セットいる大人と子供の主人公たち、そのどちらもが魅力的。まだまだ未熟で、だからこそ物語を通して感情が大きく揺れ、そして成長していく。その過程が愛しいのです。
“白鯨”のキャラクターもとてもよかったです。メインとなるディックとフェイク、そのどちらも。
でも彼らにも増して、誰よりも惹かれて止まない存在、それが“宮じい”です。この作品を読んで、宮じいに惚れない人は絶対にいないと思います!! 「仁淀の神様」に至っては、野性爆弾ライブの前に新宿で(つまりは外で)読んでいたというのに、ボロボロと涙が止まりませんでした。ああ、もう良すぎます。
とかいってたら、宮じいにリアルモデルがいらしたとは!! そりゃあんなカッコイイじーさんがいたら惚れますってば。http://www.geocities.jp/seishusironeko/shuzai/sorashuzai.html

展開やストーリーももちろん抜群に良いです。「Story Seller」で惚れた通り、巧い作家さんだなあ…としみじみ。グイグイ引き込まれました。もーとにっかく、むちゃくちゃおもしろかった。中盤まで細々と読んでいたので、なぜか読書期間は長くなってしまいましたが、でも加速したら終盤は一気! だってもう、目が離せないんですもの。

とにもかくにも、大好きな作家さんになりました。