「螺鈿迷宮」

昨年読んだ本の感想をつらつらと。

螺鈿迷宮 上 (角川文庫)

螺鈿迷宮 上 (角川文庫)

螺鈿迷宮 下 (角川文庫)

螺鈿迷宮 下 (角川文庫)

何だかんだと最優先で読んでいる、バチスタ・シリーズ。…このシリーズ名は違うな。東城大学病院シリーズ? としたら、本作は完全に「外伝」。やっぱり、桜宮サーガというべきですかね。年明け早々に「ジェネラル・ルージュの凱旋」まで文庫化されちゃったもんだから、現在もちろん読書中だったりします。このシリーズ、文庫化の際に必ず上下巻に分冊する意味はどこに? エコじゃないぜ。
さて、本作。「外伝」ということで、舞台は東城大学ではなく桜宮病院。主人公も医学生。これまでとは雰囲気がガラリと変わる―かと思いきや、相変わらずの読みやすい感じ。主人公のキャラクターのせいか、むしろさらに軽くて、さくさくと読めてしまいます。しかも例によって、登場人物ひとりひとりのキャラクターが良すぎる。待望の氷姫は、狙いすぎ感があったものの、やっぱりイイ。ロジカルモンスター・白鳥は相変わらずだし。こんなに重いテーマを扱っている小説なのに、何でこんなにおもしろいんだろう。まさに、キャラクターの力、だろうなあ。桜宮病院の面々のキャラクターも、とても魅力的。読み終えた後はどうしても切なくなってしまうけれど、でも特徴的なひとりひとりのキャラクターがそれぞれの役割をしっかりと全うしていて、…いろいろと考えさせられます。
そもそも今回のストーリーは、現在の末期医療の問題をまざまざと見せ付けるものです。これは…なかなかに重いなあ。この問題は、おそらく多くの人がこれから何らかの形で直面し、考えなくてはならないものだと思います。ま、本作はかなり軽いノリなので、どれだけの人がリアリティを持って感じられるかは謎ですが…、でも実際のお医者さんが書かれたこのような小説が世に出て、多くの人に(エンターテインメントとしてであっても)読まれることには、意味があることなのでしょう。
うん、本作もこれまで同様、読みやすくておもしろかったです。そして何気に、「ジェネラル・ルージュ」にとても期待中。

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)

ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)

ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)