「朱夏―警視庁強行犯係・樋口顕―」

朱夏―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)

朱夏―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)

「果断」を入手したので、そちらを先に読もうかと思っていたのですが、サイズ的な問題で、まずはコチラから。以前読んだ「リオ」に続く、樋口シリーズの2作目。前作は、その前に呼んだ「隠蔽捜査」の印象が強すぎたせいか、正直そんなにグッと来なかった記憶があるのですが、本作はよかった! サスペンスフルな展開もあってか、とてもおもしろかったです。
前作でも光っていた、家族愛。本作では、樋口の妻・恵子の誘拐というまさかの展開から、そこにフォーカスされています。正確に言うと、「家族のあり方」かな。私自身は、1人の「妻」として、恵子の持つ家族観、「家族のあり方」にとても共感しました。もっというなら、「こういう妻、こういう母でありたい」と感じました。
ミステリーとしては、犯人はとてもわかりやすくて早々に予想がつくし、実際に割とあっさり明かされるのですが、そこに主題はないように思うので、問題なし。テンポよくサクサクっと読めるところも、大きな評価ポイントです。疑いをかけた翻訳家・城島とのやり取りのあたりとか、とてもよかったなあ。
前作ではあんまり好きになれなかった樋口や、相棒の氏家、そしてもちろん、恵子のことを、好きになってしまったりして。近いうちに、これに続く「ビート」も読みたいな。ま、まずは「果断」からですが。