「ガーディアン」

ガーディアン (カッパ・ノベルス)

ガーディアン (カッパ・ノベルス)

めっきり多作な石持氏。書店で本作が平積みされていたのを見たときには、正直驚きました。今年、どれだけハイペースで本が出てるのにゃ?? …ということで、ハードカバーは買いませんが、ノベルスは即買い(笑)。相変わらず、ある種無機質というか何というか、そんなに無駄も人間味も物語性もない(???)作品なだけに、さくさくっと読み終えました。
「ガーディアン」という特殊な存在がそばにいる「守られた」女性2人にまつわる事件を描いた中編2作を繋げた本作。とにかく、何よりもこの人は「設定」作りが巧い。今回は、ある種ファンタジー? リアルな中で特殊空間を作る「水の迷宮」や「扉は閉ざされたまま」とは異なり、特殊な中で(ある意味)リアルな事件が起こるという、「BG、あるいは死せるカイニス」を彷彿とさせるパターン。例によってちょっと変わったヘンテコな設定で、とりあえず私としてはそれだけでニヤリ。いや、石持作品っぽいなー、と。
…だけど今回は、ちょっとそれだけに尽きる感があるかなあ。正直、これってミステリー? という気すらします。それっぽい要素はもちろんあるんですが、ぶっちゃけ物足りないというか…。
さらに、ここへ来て、いろんな意味で開き直りが見えるというか…。登場人物だったりその行動だったりのリアリティのなさが、度を越している部分があるような。あと、この人の性的なことを匂わせる表現って、何か歪んでいるというか変態ちっくな部分がありません? 別にいいけどさ。
もちろん、今回も充分おもしろく読んだわけですが、そろそろまたガッツリと「っぽい」石持作品を読みたいなーとか思ったりして。