「復讐者の棺」

復讐者の棺 (講談社ノベルス)

復讐者の棺 (講談社ノベルス)

待ちに待った、ものすごーーーく待ちに待った、石崎幸二氏による例のシリーズの最新刊です。
しかし、「長く短い呪文」以来5年以上音沙汰なしで、ここ1年くらいで2作なもんだから、なんだかとっても違和感。…って、前作からも1年経ってるのか!! あらビックリ。月日が経つのって早いわあ。でもって、今回もやはり最優先で読んでいるあたり、私が何気に石崎ファンだってことがモロバレですね。いえ、以前から明言していますが。

ということで、ミリア&ユリシリーズ(と呼んでいいの?)、大復活です! わーい、この感じ、待ってました!! …うん、たぶん、待ってました。
いやもうなんというか、正直ひさしぶりすぎて、「あれ? こんな感じだっけ?」とか思ったりする部分もありましたが、掛け合いっぷりは健在。「うん、こんな感じだった(気がする)」。
相変わらず区別のつかないミリアとユリ。ははは、大好きですこの2人。実は今回、それ以上に意外と好きだと感じたのは、完全本格バカな石崎幸二(←これはキャラクター名なので呼び捨て)ですけれど。

あらすじを読んで、また孤島モノかい!! と思ってごめんなさい。これこそ本格ですよね。うんうん。今回も相変わらず、「ザ・本格ミステリー」だと私は思っています。そうそう、私の中で本格ってこういうヤツ。というか今回、かなり凄惨で壮絶な事件だと思うのですけれど、何でしょう、この例によった緊張感のなさ。完全なのんびりモードというか。やはりキャラクターとその会話のなせるワザ、なのですか?

事件の幕切れについては、登場人物自身がその台詞の中で言及しているので何も言いませんが、でもまあ正直、安いというのか薄っぺらいというのか。別に、このシリーズに「重さ」なんて一切求めていないので、それはそれでいいんですけどね。実際、今回も楽しく読みましたし。うん、やっぱり私、石崎作品の持つ雰囲気、好きですよ。なんか楽だし。

あはは、前作の「首鳴き鬼」で満たされなかった部分が、少し満たされた気がしています。単純だなあ、私。でもってこれで作家・石崎幸二が完全復活(!?)と思ってよいのですかね? 以後、年1くらいのペースで出していただけると嬉しいな〜っと。


そして最後に、気づいたこと2つ。
あれ? そういえば、石崎作品って、もしかして1作も文庫化されてない…?
でもって、巻末カバー折り返し。「独身」の表記。…あれ? 数年前、どこかでご結婚されたという噂を耳にしたような…?? ま、どっちでもいいんですけどね。