「きみとぼくが壊した世界」

きみとぼくが壊した世界 (講談社ノベルス)

きみとぼくが壊した世界 (講談社ノベルス)

何だかんだいって読んでしまう、西尾氏の新刊。30代に突入しようかという我々が本屋でレジに持って行くには多少ためらわれる表紙にも関わらず(いや、私は平気ですけども)それでも延々と読み続けているのは、やはり氏の作品が魅力的だからであり、描かれる世界に、書かれる文章に、紡がれる物語に興味があるからに他なりません。(とはいえ私が読んでいるのは戯言シリーズりすかシリーズ、そしてこの世界シリーズだけですが。)
で、本作。西尾氏の作品に私が惹かれる1つの要因を、改めて認識しました。それは、潔さ。ある種、開き直りとも言えるかもしれません。
…ぶっちゃけ私、この作品構成を「ズルイ」と言う人、いると思うんですよね。文句言う人とかもいてもおかしくないんじゃないかな。でも私的には、まったくもってアリです。というか、楽しんで読みました。ここまで開き直って書かれると、むしろ楽しい。この構成だからこそ楽しめたと思います。
だって私、本当はこの登場人物さんたち、苦手だし(笑)。くろね子さんも様刻くんも、超苦手キャラです。…でもおもしろく読めちゃったんだよなー。1作目があんなオチだったのに、2作目もあんなのだったのに、こうして何事もなかったかのように蜜月な日々を過ごす(?)2人を微笑ましく見守れたのは、この構成だからこそだった気がするんですよね。
挙句、むしろいまの私はくろね子さんがちょっと好きだったりしますもの。いや、好きというか、むしろ彼女のようになりたい(笑)。
文章こそねちねちしてるし回りくどいくせに(ある意味褒めてます)、きっぱりすっぱりぱっきり貫かれる意志と姿勢と冷酷さと職業意識が見える西尾氏ならではの「小説」に、何だかんだいってハマってるんだろうなあ…と改めて認識してみたり。
ま、間違いなく、次回作も読みます。たぶんね。

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

不気味で素朴な囲われた世界 (講談社ノベルス)

不気味で素朴な囲われた世界 (講談社ノベルス)