「子どもたちは夜と遊ぶ」

子どもたちは夜と遊ぶ (上) (講談社文庫)

子どもたちは夜と遊ぶ (上) (講談社文庫)

子どもたちは夜と遊ぶ (下) (講談社文庫)

子どもたちは夜と遊ぶ (下) (講談社文庫)

本屋で文庫化されているのを発見して、即購入。そして一気に読みました。分厚かったので少々時間はかかりましたが、これだけの分量を飽きさせることなく一気に読ませるこのチカラは、やはりホンモノ。おもしろかったです。
個人的には、暗かったり痛かったり独りよがりだったり、要は若いってこと? という部分に対して、少々クールな目線になっていたりするのですが、それを差し引いても、おもしろい。リアルタイムで学生時代に読んでいたら、この人の作品には本当にハマっていたと思います。キャラクターだったり設定だったり物語だったりあらゆる部分で惹かれていたんだろうな、と。
今の私がもっとも惹かれるのは、この物語の「作り方」。構成だったり技巧だったり、とりあえず、巧いです。さらに言うと、終盤のあのシーン。ああ、好きです。あまりいろいろ書くとネタバレになりそうなのでやめますが、私こういうの、弱いんです。好きなんです。
メインの一番大きな謎については、実は意外性はさほどないのですが、そこに至るまでの細かい部分のいろいろ、それに絡んでくるいろいろが、本当に見事。「ああ、なるほど」と思わせつつ、「ああ、何でこんなことに」と心臓がぎゅっとなる感じ。キャラクター1人1人について丁寧に描かれており、その丁寧な描写が逆につらかったり切なかったりする部分もあります。普段の私だと、もしかしたら苦手だと思ってしまうくらいなほどに。だけど、読み終わってみると、私の中でかなり本作の評価は高いです。
辻村作品、これは今後も読まなくちゃ。