「クラリネット症候群」

クラリネット症候群 (徳間文庫)

クラリネット症候群 (徳間文庫)

乾くるみ作品、私は何気に苦手です。苦手なんです。苦手なんですけーどー、でも何か読んじゃう。何だかんだいって、「イニシエーション・ラブ」「リピート」を評価している証拠なのでしょう。今回も帯に惹かれて買ってしまいました。ああ、我ながら単純…。というか、出版社の売り方がうまいのか?
ということで、本作。うだうだ言いつつも、結構あっさり読み終えました。
既作の「マリオネット症候群」と書き下ろしの「クラリネット症候群」あわせ技の今回。私は前者を未読だったので、完全に新作として読んだわけですが…。うん、「っぽい」な。いろんな意味で、「っぽい」な。
まず、「マリオネット症候群」は、ある種ありがちな展開? SFちっくな感じはありつつ、でも何というか奇想天外というか。キライではないんだけれど、でもやっぱり薄っぺらくて笑ってしまったり。てか、主人公のん気すぎだろ!? まあどうにもできないかもしれないけど。しかしこの人の書く「女性一人称」はやっぱりちょっと気恥ずかしい。オチは何とも言えず。でもやっぱり、「っぽい」かな。
書き下ろしの「クラリネット症候群」は、…実はキライじゃないなあ。この人やっぱり、ガチガチのミステリー作家なのね。それを認識しました。この暗号ロジックは、好きですよ。完全にパズル的というか。発想が非常に好みでした。まあこれも恋愛要素の絡め方の薄っぺらさ…というか突飛さに笑いましたけれど。途中の無意味な展開とかも含めて、実は結構評価してるかも。
といいつつ、やはり「イニシエーション・ラブ」「リピート」に匹敵する内容かといわれると、微妙。軽く楽しく読める時点で、私自身は評価しますが、でも誰にでも薦められる内容ではないし、後味も良いかと言われると微妙なので、保留。むしろ、帯やあらすじのあおり方が、若干気に食いません。くっそー、やっぱりマーケティング、重要だな。でもそれを活かすのも殺すのも、やはりその先にあるコンテンツだな。それを何となく再認識しました。