「ゴールデンスランバー」

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

またもや相当間が空いてしまいました。ひさびさの感想は、ひさびさの伊坂氏書き下ろし作。あまりにひさびさ過ぎて、発売日過ぎてから発売を知って慌てて買う始末。待ってたのに、ねえ。
ということで、待望の新作は渾身の1000枚書き下ろし長編。いやー、これはすごい。伊坂氏の純粋な長編ってあまりにひさしぶりだったんですが、読み応えたっぷり。こんなに先を急いで読んでいるのに、なかなか進まなくて焦りさえ覚えるような作品って、初めてかも? ひさしぶりのこういう構成の作品に、どっぷりハマりました。読み終えて、まずまた最初から途中までを読み返して、そして新たに多くのことに気付いて、そしてハッと息を飲む。…感動を覚える。ああ、読書って素晴らしい。
相変わらずの伊坂ワールドは、清々しさと爽やかさがあって、だけどやっぱりどうしようもなく苦しいほどに切なくて。生き生きとしたキャラクターたちが愛しくて仕方ないけれど、だからこそめくるめく展開に胸を締め付けられて。繰り広げられる会話はあまりに身近で、だけど洒脱で、ニヤリとさせられて、なのにそれが回想に変わっていくことがつらくて。だけど、一筋の希望の光が、その中には明確にある。静かにこのラストシーンは、私の胸に残り、そして笑顔をくれました。
作品中に散りばめられた見事な伏線は、いつも通り。期待を裏切らない…いえ、常に期待の上を行く人です。
私は、この作品が好き。うん、やっぱり私は伊坂幸太郎が好きです。ひさしぶりに伊坂氏の長編を読めて、単純にそれだけで満足。「伊坂を読んだ!!」って気がして。
ところで他作品とのリンクは、リョコウバトの話以外であったのでしょうか? イマイチ私は見つけられていないです。