「さよなら妖精」

さよなら妖精 (創元推理文庫)

さよなら妖精 (創元推理文庫)

旅の新幹線で読むために相方に押し付けた本作。…よく考えたら、私自身感想書いてないじゃーん、ということで、今さらながらに感想を。読み終えたのは一体いつだ? 半年くらい経ってるんじゃないの? いや、もっと?? という気がしつつ。私自身この旅で高校生たちの青春ミステリーを読んだことだし、その繋がりってことで。←かなり無理やり。

で、本作。「ボーイ・ミーツ・ガール・ミステリー」という触れ込みに、軽い気持ちで手に取りました。これまで読んできた米澤作品と同じノリだろうと、本当に軽い気持ちで。
確かに本作は、間違いなくいつもの米澤作品ではありました。日常の謎系ミステリー。登場するキャラクターや彼らの会話。少しとぼけた印象すらあるその物語は、相変わらずでゆったりと読めるものでした。でも読了から時間が経った今強く残るのは、終盤明らかになることの真相。そしてその後の展開。…読了後のこの余韻は、これまで触れてきた氏の作品と明確に違う印象を残します。

ライトノベル作家という印象がどこかつきまとっていた米澤氏でしたが、いやいや、こんな作品読まされてはそんなことを思えるはずがなく。間違いなく、非常に良作だと思います。
青春小説とかミステリーとか、ましてやライトノベルとか、そんなカテゴライズはどうでもよくて、何よりもいろいろなことを考えさせられる物語でした。それを作者自身が望んでいるかどうかなんて知りません。だけどやはり、最後に残るこの思いは……。
氏の代表作と評されることもある本作ですが、それに大いに納得した作品でした。積極的に私自身がオススメすることはないと思うけれど、多くの人に読んでもらいたい作品ではあります。