「敵影」

本当は宣言通り最優先で読んだために7月中には読み終えていたのですが、何だか感想が書けずに今日に至っておりました。

敵影

敵影

Amazonでもようやく画像が表示されるようになっているようで…って思ったら表示されないし。む。

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さて、何が何でも最優先で読んでいる氏の作品ですが、何でこんなに私は氏の作品が好きなのか、たまに自分でも謎に思うことがあります。もともとはミステリー作品をいろいろと読みふけっている中でピタっとハマったのが氏の作品で、講談社から出た3作は、いずれもとても大好きな作品です。その頃と今とでは書かれている世界は異なっていて、ご本人が書きたいと思っているだろうことも変化しているわけで…。だけれど、その戦慄するような見事な文章、そこに張り詰める緊張感、ときにハッとさせられる見事なトリック、そして気が付くと胸を熱くさせる物語が、私を虜にしてやみません。

こんなことを書いてお茶を濁しているのはどうしてかというと、何かもう好き過ぎてなのかあるいはテーマの問題なのか、感想をマトモに書くことができないのです。この作品を読んでいるときに感じたことは、本当にたくさんあるのだけれど、それはもう、読んだ人でなければわからないのではないかという気がして。とりあえず、私にとって氏の作品はいずれも大切な作品ですが、今回も非常に大切な作品となりました。

前作のように構成に工夫があるわけでもなく、大きな驚きや感動があるわけではないかもしれません。だけれど、あまりにさらりと明かされる事実への驚きや、後半の徐々に高まる熱を感じさせられる展開、そして全編通して描かれる、終戦前後の沖縄(日本)のリアルさに、苦しいほどに胸が抉られます。
例によって、派手さは一切ありません。以前は感じられたような(戦争小説にありがちな?)説教臭さも一切ありません。物語のラストは、むしろあっさりと、だけれどその分余計に、「リアル」が胸に響いてきます。

ああもう、何でこんなにこの人の作品は感想が書きにくいんだろう…。本当はもっと書きたいことがあるんです、あるんですけれど、どうも言葉にできません…。
ま、これで直木賞取るのはアリではないでしょうか。個人的には「遮断」であげときゃよかったのに…と思いますけれども。

遮断

遮断