「太陽の塔」

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)

何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。

まさに、「愛すべき作品」。
ただひたすらに、私にとってはそれだけかもしれない作品。

「我々の日常の九〇パーセントは、頭の中で起こっている」

この一文を読んで、私はこの作品を手に取ったことが正解だったことを噛み締めました。うん、名言。

物語がどうこうというよりも、この文章、そして主人公とその周辺のキャラクターが非常によかったです。キャラというより、その妄想っぷりか。「the・妄想小説」。ええじゃないか。私は好きです、こういうの。ええ、大好きです。
とりあえず、最近自覚してきた日本語マニアかもしれない私にとって、氏の文章は非常に好み。この文章が好き。表現が好き。これはまたいい作家に出会ってしまったかもしれません。

描かれている世界は、何というのか、いろんな意味で非常にリアル。等身大の京大生の生活がそこには描かれていて…、非常に心地よいようで、逆に心地悪いような(笑)。
たぶんハマらない人にはとことんハマらないんだろうなあ。でもって、私なんかよりもよっぽどハマる人にはハマるんだろうなあ。
結局、私は「こっち寄り」な人間みたいです。

とりあえず、氏の作品はこれからいろいろ読んで行きたいと思います!