「顔 FACE」

顔 FACE (徳間文庫)

顔 FACE (徳間文庫)

本屋で文庫化されたものを発見して、意気揚々と購入してしまった本作。この作品には、仲間由紀恵オダギリジョーといった豪華キャストでドラマ化された時、「ひさびさにドラマを欠かさず見るぞ」と決意したにも関わらず、残業で一度もドラマに間に合う時間に帰れず、まったくマトモに見れなかったという切ない思い出があります…。
ということで、かなりの期待を胸に読んだのですが、どうやら私には、硬派な文体とリアリティー溢れる緻密な描写、胸を抉るような真相、どれをとっても横山作品はツボなようです。連作短編というスタイルがまた好きなので、今回も当然のようにツボ。あ〜、面白かった。以前読んだ「陰の季節」もそうでしたが、非常にドラマ性が高く、「読ませる」作品でした。
完全な男社会である警察にあって、似顔絵婦警・平野瑞穂が挫けそうになりながらも成長していく様(表現が稚拙すぎて何だか違う気が…)を見事に描いている本作。ですが、個人的にはミステリーとしても、非常に見事な作品だと思います。
特にミステリーとして完成度が高いのは、「心の銃口」でしょうか。この意外な真相にハッとさせられると同時に、そのラストシーンに胸をうたれました。(ああ、これはまさしく文字通り?)これ以外にも、「決別の春」の真相、「疑惑のデッサン」の女性の描き方など、胸をえぐられるような感覚を幾度も味わったり。
これからもいろいろ読みたいところですが、とりあえず文庫落ち待ちです…。