「夜の蝉」

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

「円紫さんと私」シリーズの2作目は、氏のデビュー作であり本シリーズ1作目「空飛ぶ馬」以上に私にとってツボな1冊でした。
相変わらず、あまりに見事なその表現力や繊細な描写に完全に舌を巻く私。収められた3つの短編いずれもに心奪われました。そこに描かれる女性像の素晴らしさ。
今回も確かに「本格」作品なのですが、それ以上に主人公である「私」の心情や女性としての成長、姉や友人との関わり合いに重きを置いているため、物語世界に余計入り込んでしまいます。
特に表題作「空飛ぶ蝉」は、私自身姉を持つ妹として、主人公の姿に自分を重ねてしまう部分が少なからずあり…。特にラストにかけてのあの流れは本当に素晴らしかったです。
「秋の花」は注文済なので、届くのが待ち遠しいです。早く読みたいな〜。