「七月七日」

七月七日

七月七日

前作「接近」を読み終わったときからずーーーーっと待っていた「七月七日」がようやく単行本に。
小説すばる」に連載されていた一話ずつを一冊にまとめた形の戦争長編。今回もミステリーではありませんが、相変わらず期待を超える作品として仕上がっていると思います。
日系二世、日本人の両親を持ち、日本語を喋るショーティ。太平洋戦下、サイパン島アメリカのために戦う日系二世の語学兵の苦悩を描いている本作。…これまで殆ど誰も扱ってきていないテーマではないでしょうか。独自の視点によって描かれるサイパン島での悲劇。いつものことながら、どこまでも静かなその文章に、そのリアルさに、目を背けることもできず、ただただページを捲る手を止められませんでした。何度も目頭が熱くなり…こみ上げてくるものを押さえきれなくなりそうでした。
間違いなく、傑作だと思います。
それでもって、やはりとんでもなく整理された美しい日本語を書く人です。この文章力にはまさに圧巻。憧れの存在だったりします。