「分岐点」

分岐点

分岐点

待ちに待った古処先生の新刊!! てことで、発売と同時に購入、早速読みました。
相変わらずの、一瞬も気の抜けない言葉たち。緊張感を伴いながらページをめくり続けられることに、快感を覚えてしまっている自分がいます。
静謐で、整然としているのに、なぜこんなに胸にこみ上げるものがあるのでしょう…。
上手く感想を言葉にすることが出来ません。ただ、「読んでよかった」と思える作品です。内容については語れません。どうしてでしょう。「ルール」とはまた違った感想を抱いています。前作ほどの壮絶さはありませんが、重さとしてはこちらもかなり。
わずか1ページの序章、そして最後の終章ともいえる手紙がストレートに胸に来ました。
文章の巧みさは本当に素晴らしい。表現に唸らされる箇所もいくつか。
「ルール」もそうだったけれど、決してこちらに何かを押し付けることなく、淡々と語られる物語。誰が悪いわけではない、その時代、日本に生きていた人間の、ありのままの現実。
あ、ちなみにこれをミステリーっていう気はあんまりありません。そういう枠で捉えなくていいのです。なのでそいった意味ではこの帯はちょっとどうでしょう。でも書店で帯と1ページ目にやられたのは事実。