「オーデュボンの祈り」

伊坂氏の虜になった1作。

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

世間での評価の高さから、非常に期待しながら読んだ伊坂氏のデビュー作。
何なの、この面白さは!!? と驚愕してしまうほどの面白さ。一言で言ってしまうなら、これまでに読んだことのないミステリー。
何だコレ? と思わずにはいられない、変てこな展開。それはあらすじ紹介からして歴然。
コンビニ強盗に失敗した主人公が連れてこられたのは、150年の間鎖国状態にある孤島。そこにいるのは個性的な面々。変なヤツラばかりなのに、極めつけは喋る上に未来がわかるカカシ。しかも本作のメインとなる謎は、そのカカシの殺人事件。被害者はカカシ。何だそりゃ。
ファンタジーのようでもあるが、同時に展開される現実での話のリアルさが引き止める。かといってやはり現実の話だとも思えない。言うならば、シュール。何ともいえない、独特な世界観。どこか引っかかりを覚えつつも、引き込まれてしまうのはやはり魅力的だからでしょう。
更に、その島に「欠けているもの」についても、非常に美しく、まるでおとぎ話。物語としても素敵な魅力を持っています。
ミステリーとしても良質。こんな世界でありながら、しっかりとした本格なので、いろんな意味で満足させられる作品です。
…大好き。