「探偵ガリレオ」
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/02/10
- メディア: 文庫
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なぜいまさらこの作品に手を出しているのか、勘の良い方ならお察しでしょう。今年のベストと呼び声高い、「容疑者Xの献身」を読むためです。てへ。
さて、そんな不純(?)な動機での読書でしたが、感想は以下に。
個人的には、あまり「東野圭吾らしさ」を感じさせられなかった本作。充分、「普通におもしろい」のですが、氏に期待しているドラマ性が弱かったせいでしょうか。(もちろん、短編にしておくにはもったいないドラマがある物語もあるのですが、それならいっそ長編にして読ませていただきたいわけで…。)物理トリック的には非常に興味深いものが並んでおり、本作の主眼はそこに置かれていることも承知の上ですが、だからといって氏に求めているのは、そこでなかったりするもので…。ああ、読者のワガママ。
「燃える もえる」
もっとも印象に残った作品。作者の巧さも感じさせつつ、トリックもかなり大胆(まあどの作品にも言えることですが…)。こういう「せつない」感じはいいと思います。
「転写る うつる」
ラストシーンが非常に印象的。
「壊死る くさる」
後半の展開などは、作者の巧さを非常に感じました。
「爆ぜる はぜる」
これは…若干考えさせられる部分がある物語。こういう動機で事件を起こすのもどうかと思うけれど、こういうのも実際ありそうだなあ。ある種怖かったり。でも、ラストはちょっといいなあ。
「離脱る ぬける」
単純に「すごいなー」と感心してしまったトリック。まあこれも全体的に言えることで、それだけで感想が終わってしまうところが本作の弱いところではあると思うのですが。
ただ、草薙刑事と湯川助教授のコンビはなかなかよかったです。湯川助教授は、犀川先生とまた違った感じの理系の名探偵。
もちろん、近いうちに「予知夢」も読みます。