「ブードゥー・チャイルド」

ブードゥー・チャイルド (角川文庫)

ブードゥー・チャイルド (角川文庫)

前々から読みたかった本作、非常に期待が高かったのですが、それを裏切らない作品でした。

主人公の少年に残る「前世」の不思議な記憶と「現世」で起こる事件。この謎に満ちた奇妙なリンクの謎が、終盤明らかになっていく様は、やはり見事。まず、ツカミがうまく、構成がしっかりしているので、一気に最後まで読んでしまいました。歌野氏の物語展開のうまさは充分承知しているところなのですが、この頃からそれは健在だったようで。
個人的にもっとも唸らされたのは、「悪魔の紋章」について。強引という声もありそうですが、こういうの、キライじゃないです。
ひっかかる部分が何もないわけではないですが、それを差し引いてもおもしろかったです。
歌野氏の代表作の1つとして挙げられるのも納得の1冊でした。

噂によると、本作と、この後に刊行されている名作「世界の終わり、あるいは始まり」「葉桜の季節に君を想うということ」で3部作だといわれているとか。確かに、何となくわかる気はします