「魍魎の匣」

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

老後どころか、「姑獲鳥の夏」を読み終えたばかりで立て続けに読んでしまった本作(苦笑)。「シリーズ最高傑作」の呼び声高い本作、やはり誘惑には勝てなかったもので。
実家で姉が借りてきていたので、前半500ページくらい読んでしまっていましたし。
# ちなみに老後に読むのは山田風太郎ということに変更しました(笑)。

これは…すごい作品だと思います。いやー、おもしろい! 確かにものすごい傑作でしょう。とんでもない分厚さ(文庫で約1050ページ)の大作ではありますが、この人の本は一気に読めてしまうので、もう気にしないことにしました。てか、今のこの勢いに乗って一息に全シリーズ作品を読破するのが本当は正解なんじゃないかと思いはじめています(笑)。
さて、そんなことはいいとして、本作。バカ読者の読み方としては、これでしょう。
木場修カッコイイ!!(笑)
いやー、私は本作で木場修ファンになりました。後半は京極堂氏に完全に持っていかれてしまっていますが、いやいや、これは「木場修の物語」といってもいいんじゃないでしょうか。ダメですか。ということで、キャラものとしてもナカナカの作品(笑)。でもまあ当然、本題はそこにはないわけで。
2作目にして既に完全に確立された世界観。「魍魎の匣」というタイトルから想像されるほどおどろおどろしい感じはないのですが、作品全体を通して感じられる少し淫靡な雰囲気というか、空気感が実は結構好きだったりします。京極堂の薀蓄も非常に楽しく読ませてもらいました。謎解き部分は確かにまどろっこしい気がしますが(笑)、それでも充分興味深い内容なので、長くてもあまり気になりません。
…やはり、何だか詳しい感想は書きづらい本作。単純に娯楽作品として楽しむだけでなく、人間の中の闇の部分を見せ付けられるというか…何かを考えさせられる作品でもあります。
人の中に潜む「魍魎」とは何なのか。
そして、「匣の中を覗きたい」という欲望に、抗うことができるのか…。
ま、そんなことを長々と書く気にはならないので、とりあえずこんなところで。とりあえず、かなりイチオシの作品になったことは事実です。もっかいいっておきましょう、おもしろかったです。(