「愛のひだりがわ」

愛のひだりがわ (新潮文庫)

愛のひだりがわ (新潮文庫)

こちらもお薦めいただいた作品。ジュブナイルということもあって、「旅のラゴス」よりもさらにぐっと読みやすい印象。でもじゃあ内容が幼いかというとそんなことはなく、これまたどっぷりハマったのでした。少女の一人称ということで、こちらの方が入りやすかったです。おこさまなもので。

母が死んだ。
母が、遠い、会えないところへ行ってしまったとか、星になってしまったとか、そういう言いかたは、わたしはしない。死ねば何もなくなるのだ。

こんなはじまりをする物語。相変わらずシンプルだけど沁みてくる文章に、何度もハッとさせられたり、どこかきゅんとしたり。愛と彼女のひだりがわをともに歩く彼らの旅。そして成長。…好きだなあ、こういうの。
解説で触れられている「虚人たち」も読んだ方がいいのかしら。機会があれば、また。

虚人たち (中公文庫)

虚人たち (中公文庫)