「凍える島」

凍える島 (創元推理文庫)

凍える島 (創元推理文庫)

「Story Seller」を読んで、読みたくなった作家さんその2。いやー、「Story Seller」バンザイ。入門編にいいなあ。
本当は「サクリファイス」を読みたかったのですが、まずは文庫からスタートてことで。鮎川賞受賞のデビュー作まで戻るあたり、私も私ですね。
てことで、本作。これ、デビュー作? という感じの文章。めちゃくちゃ巧いなあ。ミステリー読んでる感じがしなかったというか。孤島モノなので、コテコテの定番設定なのに、ぜんぜんそんな雰囲気がない。別のちょっと淫靡な感じの空気を纏った、色気を持った文章というか。柔らかいけれど冷たくて、滑らかで匂い立つような。終盤のあの展開は、ゾクリとする感じ。
ミステリーとしての驚きは大きくないけれど、あの感じはキライじゃないのです。独特の空気感がやっぱりイイんだろうな。他の作品もぜひ読んでみたいと思います。