「向日葵の咲かない夏」

ずいぶん感想を書くのが遅くなってしまいました。相変わらずスローペースですが読書はしております。2週間くらい前に読み終わった本作の感想をようやく。

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

前々から読みたかった道尾さん。ここ数年のミステリーランキング系で必ず出てくるお名前で、直木賞候補作にも選ばれたということもあり注目していたのですが、もともとの出自がホラーということもあって、何となく敬遠していました。デビュー作の「背の眼」を書店で探して手に取るところまでは行っていたのですが、何となくまた棚に戻してしまったり。
が、ここしばらくの書店のPUSHっぷりもあって、平積みされていた本作を購入。読了後やたらと書店や電車の中吊りで「売り上げナンバーワン」的な記載を見つけては、何となく踊らされた感にちょっとガッカリしたりして(笑)。


そんなことはいいとして、本作の感想です。
…巧い作品だなあ、というのが正直な感想です。印象はやはり「ホラー」なので、決して得意ではないけれど、こういう作品の作り自体は非常に好み。ただし現段階において本作品や作者を“好き”かというと、まだそこまではいかない感じ。いや、だって苦手な部分がどうしてもあったりしまして。
何となく思い出したのは、乙一さん。ただしそっち方面に狙ったラノベ的なところはあまりないので、印象は少々異なります。本当に単純にミステリーとしての作りの巧さを感じられるというか。とても私の中で評価の高い作品です。うん、良作だと思います。
もう少しいろいろな作品を読みたい作家さんです。おそらくその後、“好きな作家”の1人になるんだろうなあ、と思います。まずはもう少し、文庫落ちを待ちます(笑)。