「推定少女」

推定少女 (角川文庫)

推定少女 (角川文庫)

これまで読んだどの作品1つとして自分にはフィットしないのに、それでもなぜか果敢にチャレンジしている桜庭作品。すべては「赤朽葉家の伝説」を、「私の男」を、読むための布石(?)のような認識ではあるのですが。
本作も元々は読むつもりはなかったのですが、書店でこの新装丁とマルチエンディング化的な話に興味を惹かれて手にとってみました。…で、読み進めていくうちにやっぱり気付く。

やっぱり私向きじゃないわ〜。

既に桜庭作品を読む時期的なピークが過ぎていたんだろうな、という感じ。あと10年くらい若ければ、ハマったんだろうなあ。さすがに30女が読んでも、何とも微妙な感じです。相変わらず圧倒的に魅力的な入り方をする物語なのだけれど、終盤にかけてどんどん失速。3パターンあるエンディングも、正直蛇足というのか何というのか、どれも微妙で、読み終えると何だか疲れている感じ。これまで読んだ作品含め、途中までは読んでいてすごく楽しいんだけどなあ。文章表現も魅力的で、キャラクターも無意味にキュートで、ぐいぐい引っ張られるように読めるんだけどなあ。
ただまあ、おそらくこれからも、何だかんだと桜庭作品は読んでいくのではないかと思います。間違いなく上記した2作は最低限。読み始めの瞬間のドキドキを、最後のページをめくる瞬間まで持続させてくれるような作品に出会えることを、今でも桜庭作品には期待しているのです。