「ジェシカが駆け抜けた七年間について」

例によって感想を書くのをサボっていたので、再開。まずはこれから。

歌野作品というと、ついついどうしても構えてしまう私。「葉桜」しかり「女王様と私」しかり、近作は特に警戒しがちです。気を抜いて読んでいると、ある瞬間に声を上げてしまうほどの衝撃を味わう。…本作も、そんな歌野色が前面に出たミステリーでした。一癖も二癖もあって、意図的に私たちに向けて企まれた仕掛けは、それでもフェアさがキープされている。読んだ側がその真相に触れたとき、大きな驚きとともに、…ちょっと舌打ちしたくなる、みたいな。
幅広く他人に薦めたくなる作品ではありませんが、でも丁寧に書かれた良作だと思います。ナシだという人は多そうな気がしますが、私的には完全にアリです。物語の構成が、巧いんだコレが。スポーツものということで(?)ちょっと爽やかさもあり。
個人的には、ちょうど新潟出張への道中で読んでいたので、後半の舞台のシンクロに少し驚きました。
先に述べた作品たちほどのインパクトはないものの、歌野っぽさが大いに出た作品でした。いやーフェアさのひけらかし方が、歌野作品っぽすぎます(笑)。さくさくっと読めて、満足でした。