「少女には向かない職業」

少女には向かない職業 (創元推理文庫)

少女には向かない職業 (創元推理文庫)

年末に本屋で文庫版を見つけたので、以前から読みたい読みたいと思っていた桜庭一樹作品についに手をつけました。特にこの作品についてはタイトルからして気になっていた作品なので、かなりの期待を胸に書店で小躍りするくらいの勢いで(大袈裟)。
そして表紙をめくった1ページ目で、ぐっと惹きつけられました。「これはキたんじゃない?」なーんて思いつつ、ワクワクと読み始めました。
実際、物語への吸引力は非常に素晴らしいものがあって、ぶっちゃけ「これはスゴイんじゃない?」なーんてことまで思ったわけです。


なのですが。


んー、何なんでしょう。後半から終盤にかけてのこの失速感というか。読み始めは高かったテンションが、ぐんぐん落ちていく感じ。期待過多だったのかなあ。先入観って怖いなあ。
でもって、ラストがどうも私的にはイマイチだったのです。単純にオチのつけ方が好みでなかったのだろうと思いますが、それだけが要因でもない気がします。
最初から「作り物っぽさ」は大いにあるんですが、途中からどんどんそれが強化されていって、最終的にはものすごくペラペラに薄い作品になっているように見えて…。どーも、ダメだなあ。
このテの作品(ようはエンターテインメント作品)に対してこんなことを言うのはどうかと思うのですが、「で、何が言いたいの?」と問いたくなってしまうのです。「あの登場人物は結局なんだったの?」とか「この人、何がしたかったの?」とか、そういう部分がちらほらと出てきてしまうのです。んー、こういう読み方は我ながらいやだなあ。


とはいえ先述した通り、この作品の持つ読者を物語へぐっと引き込んでいく力については、非常に高く評価しています。実際、巧いな〜と思う部分はたくさんありましたし。基本的に今回の作品はあくまでライトノベルの延長線上にあるものだと認識しているのですが、現在ものすごい評価を得ている直木賞候補作「私の男」がどんな作品に仕上がっているのか、非常に興味があります。まあ、いつ頃読めるのかはまるっきり未定なのですけれど…。近いうちに読みたいなー。こっそり相当楽しみにしていたりします。