「クライマーズ・ハイ」

ああ…。一度書いていた感想が消えてしまった…orz
ということで、やる気を失いつつも、リトライ。

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

帰省中の新幹線内で、ひさびさに横山作品を読了。
硬派な作風と文体は、相変わらず私の好みど真ん中。でも今回は、いつにも増してのめりこんで読むことになりました。なぜかというと、理由はその舞台。描かれているのは、地方新聞社での記者をはじめとした社員たちの姿。実際に新聞記者を務めていた横山氏が描くそのリアリティ溢れる新聞社の内情は、かつてマスコミ(新聞社)を志望していた身からすると、本当に興味深いものでした。もちろん小説として描かれているわけですが、それでも臨場感溢れるその描写に、何度もゾクゾクしました。主人公である悠木の生き様、そして選択に、思わず鳥肌が立ってしまうシーンもありました…。
また、物語の進め方も見事でした。複数のドラマが描かれているようで、ラストにはすべてひとつに終結していく。新聞人として、そしてひとりの人間としての各人の姿がきっちりと描かれており、ときに興奮や怒りを、ときに涙を誘う展開から目を離すことができず、一気に読み進めました。

この物語の中心に描かれている日航機事故については、当時幼かった私の記憶には、その報道の多くは残っていませんが、衝撃自体は印象に残っています。命の重さ、そのひとつひとつに差なんてあるわけがないのに、報道は惨たらしく、さも差があるように描くことがある。それはきっと事実で、このことはマスメディア、そしてそこからの情報を受ける私たちも、認識をしなくてはいけないでしょう。稲葉浩志氏の「あの命この命」を聴いたときの衝撃を、ひさしぶりに思い出しました。

Peace Of Mind (通常盤)

Peace Of Mind (通常盤)