「魔法飛行」

魔法飛行 (創元推理文庫)

魔法飛行 (創元推理文庫)

ななつのこ」に引き続き、本作を読了。何だかんだ言って、前作の優しい気持ちになれる読後感はお気に入りなのです。本作も続編ということで、同じ世界観、同じ空気を持った素敵な作品でした。女子大生である主人公・駒子の成長が少し垣間見れるという意味でも、とても興味深いものでした。
「秋、りん・りん・りん」というタイトルがまず、素敵。この人の文章表現は女性独自のものを感じさせるし、とても巧いなあ…と思います。謎めいた存在の女性に「茜さん」と名付ける主人公。そこで彼女自身の人柄もまた出ていて…素敵。魅力的な主人公です。
個人的に最もお気に入りは「魔法飛行」。これは…かなり素敵なラブ・ストーリー。終わり方がとても好き。ここでもまた魅力的なキャラクターが出てきちゃったな。
惜しむらくは、各物語を繋ぐ手紙の謎。最後の物語へと集約され、それは大変うまいまとめ方だとは思うのだけれど…。んー。無理やり感も全くないし、いいのですが、何だか展開的にあっけない印象というか…。それぞれの物語はとても好きなのですが、ちょっとしっくり来ない感じがあったのが正直なところです。
と、言いつつも。もちろん充分に楽しんで読ませていただきました。読後感は、相変わらず優しい気持ちになれるもので、満足。
この方の作品も、機会があればもっと読んでいきたいと思います。