「魔術はささやく」

魔術はささやく (新潮文庫)

魔術はささやく (新潮文庫)

ひさびさに読んだ宮部作品。印象としては、安心して読めるなあ、といった感じ。文句なく面白かったです。
一言で表すなら、非常に「濃密」な作品という感じでした。登場人物とその背景(主人公とその周囲の人々がまた非常に魅力的!)、心に引っかかる謎と次第に明らかにしていくその過程はこの上なく濃密で、ぐいぐいと物語世界へと読み手を引っ張っていってくれます。これだけの密度の濃い作品をあの分量にまとめているというのはすごい技術だと思います。しかもドラマ性が高く、非常に美しい作品に仕上げているあたり、作者の力量に他ならないでしょう。
今後も氏の作品はいろいろ読まないといけないなあ…としみじみ感じました。満足です。