「半落ち」

半落ち (講談社文庫)

半落ち (講談社文庫)

大ベストセラーがついに文庫化、横山ファンとしては、もちろん必読でしょう!! …ということで、意気揚々と購入。さっそく読みました。

現役警察官・梶による、殺人。アルツハイマーで苦しむ妻に請われた嘱託殺人。本人が自白し、事件は解決した…かに思えたが、妻を手にかけてから自首をしてくるまでの間に、空白の2日間が存在した。梶が決して語ろうとしないその2日間に、何があったのか…。そして梶の部屋に残された「人間五十年」の書、彼が50歳までは生きると決めたその決意の裏にあるものは何なのか…。

警察官、検察官、新聞記者、弁護士、裁判官、そして刑務官。殺人を犯した梶と様々な立場から絡んでくる人物の視点で、梶という人物とその空白の2日間に徐々に迫っていく。梶という人間の描き方が、あまりに「できすぎている」感はあるものの、そんなことは些細な問題でしょう。
「謎」が解かれる最終章、思わず熱いものが込み上げてきそうになりました。「美しすぎる」作品だとは思いますが、それでも非常に素晴らしい作品です。
直木賞を逃そうがなんだろうが、この作品が名作であることには変わりありません。
くだらない理由でこの作品を評価しようとしない人たちなんて知るものですか。

…なーんてことを言いつつも、実は横山秀夫ファンとして、本作に期待しすぎていたのか、あまりにさらりと読んでしまって、ちょっと拍子抜けしてしまったり(笑)。
そういえば、私は横山氏の長編を読むのは今度がはじめてだったのでした。