「死者は黄泉が得る」

死者は黄泉が得る (講談社文庫)

死者は黄泉が得る (講談社文庫)

西澤さんらしい作品、だと思います。SFミステリー(といっちゃっていいのかな?)としても非常にうまい作品。
「死後」と「生前」と2つのパートで組み立てられており、その進め方が非常にうまいです。
特に「死後」の側の進め方は、最後明かされる真相であっと驚かされます。やっぱりこの作者はうまいです。
(一応ネタバレ気味なので反転)最後に残された1人がミシェルでなくジュディであったというのは、やはり「永遠に若く美しいままでいる」ジュディのことがクリスティンは憎かったのでしょう。ああ、女性って怖い(笑)。気持ちはわからなくはないですが…。
しかもジュディは生前クリスティンにとって格下的に思っていた存在だったはず。その彼女が、現在年老いていってしまっている自分とは違い永遠に若い姿でいるというのはクリスティンという女性にとっては許しがたいことだったのでしょう。
まあ正直ちょっと唐突の展開だったので、しばらく考えてしまいましたが…(苦笑)。(ここまで)
とりあえず、先ずはこの設定そのものの発想力と、それを見事にミステリーとして活かしている実力にはただただ感心します。