「クラインの壺」

今はもう解散(?)されてしまった、井上泉(井上夢人)と徳山諄一(田奈純一)の合作ペンネーム。江戸川乱歩賞日本推理作家協会賞吉川英治文学新人賞と、その受賞歴だけでもものすごいものです。

クラインの壺 (新潮文庫)

クラインの壺 (新潮文庫)

本作で岡嶋二人が終焉を迎えたという、いわくつき(?)の作品。どうやらこの作品そのものは既に井上夢人さん1人の作品ということですが…。
相当な昔に読んでいた相方が、「『フレームアウト』なんて目じゃない!と思う。再読したくて買ってきた」と言って手渡され、何となく読み始めただけだったのですが…。
確かに岡嶋二人が日本ミステリー史に名を残している理由がわかったというか…とにかくすごかったです。素晴らしいです。
1989年に書かれた作品ながら、一切古さを感じさせない作品でした。本当に面白かった。一気に読んでしまいました。
読後感は正直あまり良いとはいえないものですが、読み終わった後に色々考えさせられる作品でした。物語世界に、どっぷり浸からされる感じ。アイディアそのものの見事さ、そしてストーリーテリングの巧妙さ、いずれもが引き立っています。
遅ればせながら、岡嶋作品はこの後ちょっと読んでいきたいなと思っております。